私はとある企業の女子社員。
結構大きな企業に勤めていました。
社員数が多いので、トイレが大きくあちこちにあります。
ある昼休み休憩の時、コンビニに買い出しに行って帰ってきたときのこと。
会社の入り口に入った途端お腹が痛くなり、トイレを探しました。
入口から一番近いトイレというのは、ほかの社員もあまり使わない、暗くて奥にあるトイレです。
私は初めて行くトイレなのでしたが、背に腹は変えられないと思い、そのトイレを使いました。
そのトイレに入った時、暗いこともそうですが、内装が異様に古いことに驚きました。
普通、同じ建物のトイレは同じ作りだと思うのですが、鏡の大きさや地面のタイルが何もかもが違うのです。
異様さを感じましたが、もうお腹が限界だったのでそこに入ることにしました。
トイレットペーパーがあるのを確認した後、体の汚物をすべて出しました。
変なの食べたかな・・・?と思いましたが、このトイレは誰も使わないのか誰も来ない。
トイレで大をするときや下痢に見舞われたときは、このトイレを使うのもいいかもしれない。
そう思いました。
そろそろトイレから出ようかな?と思った時、足音がしました。
穴場のトイレだけど、使う人いるんだ。と思った時、話し声が聞こえました。
「知ってる?社長と、経理にいるA子さんは愛人関係らしいわよ。なんかA子さん、仕事やる気ないし、昼休みは時間通りに戻ってこないし、ネイルやスマホばかりいじっててサボってるし、首にならないの不思議に思ってたんだけど、そういうことらしいよ」
「で、社長は新しい愛人作ろうとしてるのか、秘書に新卒の女の子つけてるよね。男性の優秀な秘書がいるのに」「あ、B課長、今度インドネシア支社に行くらしいよ。もちろん栄転じゃなくて、業績悪くした責任なんだって。事実上の左遷よ」「この会社もそろそろヤバいみたいでね、給料不払いになる前に転職活動始めたほうがいいよ」
と、とんでもないうわさ話が聞こえてきた。
そっと、ドアを開けてみると、誰もいない。
女性のような声だったけど、一人の声しか聞こえなかった。
電話でもしてたんだろうか?かなりの情報通なようだけど。
職場にもどり、同僚にトイレで聞いた話をしたら驚いて「ええっそうなの?」と言われた。
本当かどうかはわからないが、経理のA子はみんなから嫌われてて、仕事もまじめにしてないのに誰からも指摘や注意を受けてなかったり、最近社長の秘書が男性と女性の二人体制になっていたりと、わかる範囲だけでも「なるほど」と思えることがあり信ぴょう性があるような気がした。
インドネシア支社に左遷される課長はいいとして、この会社がヤバいというのが気になるところだった。
私には結婚を考える人がいたので、そろそろ退職を考えていた。
次の月には退職届を出したのだが、驚くことに私が退職したその次の月に会社は突然倒産した。
社員の多くは給与未払いで裁判を起こすとかなんとか言っていた。
あのトイレにはなにか神様か妖精のようなものがいて、未来を予言してくれるのかと思った。
会社は倒産してしまったが、あのトイレにまた行って未来の予言をしてほしくなり、私は会社に行った。
正面の入口はカギがかかっていたが、幸運なことに裏口の鍵が開いていた。
「ラッキー!」と思って、薄暗くて誰もいない会社の、例のトイレに私は行った。
トイレの個室に入ってしばらくすると、やはり女性の声がする。
神のお告げのように、私は胸を躍らせ耳をそばだてた。
「この会社の建物、近々取り壊すそうよ。まあ、それはどうでもいいんだけど。来年、第三次世界大戦が勃発して、大国が核の撃ち合いをして人類の99.9%が死滅するのよね。怖いわね」「っていうか、逃げるところなんてどこにもないらしいわよ。被害がない大陸なんて南極くらいのものよ」
私は絶望した。
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